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VOL 5  時代は変わる―懐かしきアルミ水筒

異常気象の夏も2年続けばそれは憂える“悲しき正常”なのではないだろうか?
亜熱帯性気候のような暑い夏が、ここ信州でもあたりまえになってしまうのかもしれない。
猛暑の信州、湿度も年々高くなっているような気がする。
それでもお盆を過ぎた頃になると、渡る風もいくらか涼しく、
爽やかな青く高い空が時折現れたりして秋の気配が感じられる。
少し黄色くなり始めた稲の風ゆらを眺めながら、過ぎゆく夏を惜しんでいた休日の午後
「どーれ アウトドア用品の整理でもするかぁー」と
何故かスイッチが入ってしまいガサゴソやり始めた。
涼しさはやはり人(特に僕)を活動的にさせるようである。

ケースや棚にはカオスと化した有象無象のガチャモノ達。
だけど僕にとってはどれもこれも思い出がぎっしり詰まったモノや、
これから未知なるシーンで活躍するであろうモノが、みんな仲良くひしめき合っている。
ひとつひとつ手に取りながら整理を始めると、懐かしいアルミの水筒達が顔を覗かせた。
VOL 5  時代は変わる―懐かしきアルミ水筒_e0159392_231595.jpg

グランテトラ、マルキルのレバーキャップのそれである。
レバーキャップは片手で開けられるうえに蓋も紛失しないというメリットがある。

フランス製のグランテトラは“オオライチョウ”という意味。
ボトル前面に銀嶺の覇者の如く、勇猛に羽を広げている。
中央が窪んだ優美な曲線デザインは持ちやすさはもちろん
ウェアなどを巻いてテント泊用の枕にするという技も生みだした。
内部はエナメルグラスティック加工なるものが施されていて飲料の味が変わらない。
これはフランス人がワインの味を変えないためにガラスのようにする事を考えたらしく、
僕も時々ワインを入れて持ち歩いたりした。
当時、嘘か真か安ワインもそれなりの味になるなんて言われていたものだ。
(荒っぽくデキャンティングされているという事かなぁー)
一方のマルキルはドイツ製、僕のは比較的新しいモデル。
内部は、アルフェラン加工という電気を通して化学変化皮膜を形成する方法で
飲料対応させている。コーティングなどと違い耐久性が高い。
レバーキャップの蓋がロゴ入りの磁器製なのがビアボトルをイメージさせる。
ドイツ製ならではだ。

今や軽くて丈夫な素材、小さく折りたためるモノ
そして「素材の安全性」という基準も生まれ、時代は変わり水筒も進化した。
新しいモノはやがて古いモノに、今の一番はやがて最後になる・・・
それは時代は変わるからなんだ。
そう ボブ・ディランは歌ったけれど、姿を消しても心に生き続け
時代を超えていくモノが確かにある。
そのモノの持つ命の火は決して消えることなく、またいつの日か
大きな炎となって燃え上がるのかもしれない。
大量消費時代の品物にはない、独特の存在感に
メッセージの様なものを感じた夏の終わりだった。
どちらの水筒も現在は入手不可能。
またいつの日か時代に添うかたちで復活してくれる事を願うばかりである。
(とても味があるからね)

最近はアルミ製の水筒といえば、スイスの老舗S社のものが
カラフルな色・デザインなどバリエーション豊富。
その他BPA(ビスフェノールA)フリーとなりより安全になったアメリカのNジーン社、
折りたたみの元祖Cデザイン社のPパス、さらにステンレススチールを使った
Kカンティーン社など様々なブランドがあり、一昔前に比べると
選択の幅は圧倒的に広がった。

手軽さ、便利さに甘えてきた僕達はあまりに多くのものを失った。
さあ!お気に入りの水筒に水を入れ出掛けよう。
使い捨てるのではなく、使い続けていく事。それが始まりである。
自身のライフスタイルやアクティビティに最適な「心のマイボトル」となる一本と出会う事は
僕達のみならず地球にもとても素敵なことにちがいない。

それは失ったものを少しずつ取り戻す事なのかもしれない。
僕達の心と、美しき水の惑星地球に等しく・・・・。
 
おっと 手が止まってる、片付け片付け。
by cafevalo | 2011-08-27 23:46 | モノ物語り | Trackback | Comments(0)

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