VOL 8  永遠なる梓水

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アメリカ ブローニング社製 
silaflex(グラスファイバー)スピニングロッド
フランス ミッチェル社製  
#408スピニングリール

たしか中学2年生くらいだったと思う。
親父にねだって買ってもらった、記念すべき初の渓流用の
ルアーロッドとリールである。
小学生の頃から親父の趣味である鮎釣りにくっついて
あの名河川長良川によく釣りに行っていた。
 「明日、長良に行くぞっ!」そう言われると、
興奮して前の晩はあまり眠れない。
それなのに朝早く起こされる。
寝ぼけ眼のチビが車に揺られての釣行である(笑)

そう、僕のアウトドアアクティヴィティの原体験は正にこれである。
家から飛び出し、山や川で遊ぶ。食事を作り食べ、星の下で眠る。
いわゆるキャンプ場ではないフィールドでの衣食住体験は
今の僕を形成するのに多大なる影響を与えてくれた。

“父親は、子供が初めて出会う社会”と言われる。
それは社会性を学ぶという事にもつながるのかもしれない。
なるほど、幼い僕に遠く離れた未知なる世界を見聞させてくれたのは
いつも親父だったような気がする。

中学生になりルアーフィッシングの面白さに目覚めた僕は、
清流長良川でもそれを試してみたくなった。
釣り雑誌を読みあさり、一夜漬け程度の川のルアーフィッシングの
知識を手に入れた。
そして出会ってしまったのが、このミッチェルのリールなのである。
性能や自身のフィッシングスタイル、対象魚、フィールドといった
重要な部分は何処かに吹っ飛び、そのクラシカルなデザイン
醸し出すヨーロッパの雰囲気にすっかり魅了されてしまった。
親父と一緒に釣り道具屋に行き念願のミッチェルを手にした。
後はこのリールに合うロッドとなるのだが、
ここでも同様にリールの持つ雰囲気をスポイルしないマッチングを
基準に選んでしまった。
それがブローニングのロッドなのである(何故かこちらはアメリカ製)
只、今にして思うとなかなかの審美眼であったなと
自画自賛したくなるような何とも洒落たセレクトではないか!(笑)

「昔の梓川はアマゴや岩魚がたくさん釣れたんだぞ!」
僕がこの地にVALOを開くと話した時、得意気にそう言って笑った親父。
その時の笑顔を僕は決して忘れない。
我が心の梓川に若かりし頃の親父も釣りに来ていたと知って
僕はちょっぴり嬉しくなった。
同時に僕が梓川に何故魅かれるのか
その理由がわかったような気もした。

来シーズンからは時々このタックルで出掛けてみようと思う。
谷を渡る川風に吹かれ、梓水の瀬音、鳥達の歌声に耳を傾ける。
魚達のダンスを見、野花の色彩に心躍り、木々の匂いに心鎮める。
躍動する自然の営みを感じながら、のんびり、穏やかに
親父と一緒に釣りをする。
そんな一日にしよう。

梓川の流れある限り、これからも僕はそうやって親父と一緒に
釣りをする事ができる。
ありがとう、梓川。それはとても、とても幸せな事なんだ。
梓の水と共に、親父はいつも僕の心の川を流れている。

ケショウヤナギが芽吹き、河原に緑の素描画が描かれると
川は春の息吹に満たされる。

どれ、釣りに行くか。
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by cafevalo | 2011-11-29 22:33 | モノ物語り | Trackback | Comments(0)

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